【院長ブログ】気付けば年末ですね
院内でもそろそろ年末のご挨拶をする季節になってきました。
皆さんいかがお過ごしでしょうか?当院では院内で風邪が流行し、
スタッフが順番に風邪をひいてしまいました。
なかなか手ごわい風邪でした。
プランターでは12月の初めにミニキャロットが収穫できました。それなりに美味しかったです。
さて本日は肝臓の腫瘍についてお話ししようと思います。
人間でも肝臓は「沈黙の臓器」と言われるように、動物でも外見ではなかなか変化が分かりにくい臓器の一つです。
今回は狆のチンタちゃんについてお話しようと思います。
もともと10月31日に会陰ヘルニアという病気の手術を行う予定でしたが、
当日の血液検査で軽度の貧血と肝臓の数値の異常な上昇が認められました。
そこでエコー検査を実施したところ、肝臓に腫瘍が見つかりました。
すぐにオーナーさんに電話を入れ、急きょCT検査を行うことになり、
その日のうちにCT検査で肝臓の内側左葉という場所の直径13㎝程の腫瘍だと判明しました。
オーナーさんに肝細胞癌の可能性が高いこと、また手術の適応であり、手術に耐えてくれれば1年以上元気に生きてくれる
可能性があることをお伝えしました。チンタちゃんの年齢が13歳近いこともあり、
体力が持つのかと大変悩まれましたが、最終的に手術をしてあげたいと決断されました。
2日後の11/2に肝臓の腫瘍の摘出手術と、会陰ヘルニアの整復手術を同時に行いました。
両方とも大変な手術でしたが、チンタちゃんは何とか切り抜けてくれました。
手術の次の日も元気で食欲もあり我々も安心していました。ところが2日後の11/4に急にてんかん発作が出るようになりました。
オーナーさんに聞くと、過去に1回そんなにきつくないてんかん発作が出たことがあるとのことでした。
ところが今回の発作は連発しなかなか治まらない重度な発作でした。
てんかん発作が急に連発した原因ははっきりとはわかりませんが、
おそらく大きな腫瘍を切除したことで血液の流れが変化したことが原因ではないかと考えています。
結局てんかん発作を止める薬を点滴と内服で投与し、その後数日かけて点滴の量を減らしていき発作が出ないように
コントロールして11/10に退院となりました。退院後は1度も発作は起きておらず、12/11の再診では、
飲み薬もかなり減らすことが出来ました。
うまくいけば、次回の再診で発作の薬を含めてすべてのお薬はストップできると思っています。
手術前は肝臓の腫瘍のせいで、お腹が膨れて歩くのもしんどそうでしたが、
今は走り回ってもりもり食べて筋肉もしっかりとしてきてくれました。
大変な手術と術後でしたが、オーナーさんの決断のおかげで、元気で楽しそうなチンタちゃんが見れて、
我々も本当にうれしく思っています。
皆さんも来年の春の健康診断ではエコー検査を実施されるのもよいかもしれません。
※チンタちゃんのお腹に入っていた肝臓の腫瘍の写真です。
苦手な方は見られないようお気を付けください。