輸血外来

動物の病気には、人間同様に色々な病気があります。中でも血液の病気は診断や治療が難しい病気の一つです。全ての血液の病気を説明することはできませんので、ここでは主に輸血が必要になることが多い病気と、輸血や血液型についてお話しようと思います。

供血とは

動物医療における輸血とは、免疫介在性貧血(IMHA)や腫瘍の破裂などによる腹腔内出血によって貧血になった際の治療法の一つです。ヒトのように血液バンクがないため、他の犬から採取した血液を患者に輸血します。この輸血のために血液を提供することを供血といいます。

供血犬について

輸血は健康な若い犬(およそ8歳以下)から血液を提供してもらいます。老犬は採血後の回復が遅く、負担が大きいため供血犬としては働けません。採取できる血液量は体重に比例するので、当院では供血犬として3頭の大型犬を育てています。供血犬は、ワクチンや各種予防、食事や運動はもちろんのこと、年に数回血液検査を行い、心身ともに健康を保てるよう気を配っています。供血犬も当院の大切なスタッフの一員で、大事に可愛がって育てています。

犬の血液型について

  • DEA1.1(+)
  • DEA1.1(-)

犬の血液型は2種類に分類されていて、ヒト血液型のABO型とは少し異なります。基本的に初めての輸血では、その型に関係なく輸血することが可能です。2回目以降の輸血では、血液型が関係してくることがあります。

クロマッチテスト(交差適合試験)

犬の血液型は不確定な部分があるため、血液型の一致だけで輸血が可能か判定できません。これを判定するために行われるのがクロスマッチテストです。患者と供血犬の血液を混ぜて凝集反応(拒絶反応)が見られないかを顕微鏡で確認します。凝集反応が起こった場合その血液は輸血できません。

輸血の流れ

ステップ1

輸血には時間がかかりますので、午前10時前後の来院をお願いします。輸血の準備もありますので、前日までに輸血相談の電話を頂けるとスムーズかと思います。

ステップ2

来院後はまず血液型の検査とクロスマッチ検査を行い(30分程度)輸血が可能かを判断します。

ステップ3

検査により輸血が可能と判断されたら、輸血を実施します。

ステップ4

輸血後数時間、輸血反応が起こらないかを観察した後、問題がなければ夕方には家に帰って頂きます。

貧血の種類

免役介在性溶血性貧血(IMHA)

明らかな原因は判っていませんが、免疫が暴走することにより赤血球が破壊される病気です。急に貧血を起こすことが多く、薬による治療と並行して輸血が必要となることが多い病気です。

非免役介在性溶血性貧血(赤芽球癆も含む)

明らかな原因が判っていませんが、免疫が暴走することで骨髄の赤血球を作る細胞を破壊する病気と考えられています。薬による治療と並行して、輸血が必要になることが多い病気です。

腹腔内腫瘍や消化管腫瘍からの出血による貧血

脾臓や肝臓に腫瘍が出来て、それが大きくなり破裂することでお腹の中で大量出血を起こすことがあります。この様な時は輸血を行ったうえで、手術で出血している腫瘍を取り除く必要があります。
同じように消化管(胃や腸)に腫瘍が出来ることで、そこからじわじわと消化管内に出血し黒色の便が出て貧血を起こすことがあります。この時も、基本的には輸血を実施したうえで、腫瘍の切除もしくは検査を実施します。

以上が、輸血外来についての説明でした。輸血が必要になる病気は多いですが、輸血ができる病院は少なくお困りの患者さんも多いようです。血液の病気でお困りの際は、一度当院にご相談ください。

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