クレアブログ

【院長ブログ】悩み事


そろそろ梅雨が明けて、セミの声が騒がしくなってきましたね。
クマゼミの鳴き声はかなり耳に響きますが、彼らも必死にアピールしていることを考えると、
うるさいと言ってしまうのも大人気ないので優しい気持ちで受け入れようと思っております(笑)。
当院のスタッフはみんな元気ですが、先日看護師の赤熊がコロナにかかってしまいました。
数日の休養で完治してよかったですが、世間でも大流行ですので、皆さんもお気を付けください。

さて今回のお話は、胆嚢の病気についてです。
先日、セカンドオピニオンでピースちゃんというダックスの男の子が来院されました。
肝臓の数値が測定不可能な程上昇しており、他院で肝炎と診断されたとのことでした。
症状としては食欲不振と嘔吐があったとのことでした。当院でエコー検査を実施したところ、胆嚢内に結石が認められました。
実はここがいつも私の悩みの種で、胆嚢粘液嚢腫(胆嚢内がゼリー状に固まること)や胆石は急にできるものではありませんので、
今の症状(今回で言えば食欲不振や嘔吐)が本当に胆石や胆嚢粘液嚢腫によるものかの確実な証拠がないまま、
胆嚢の摘出手術を行うかどうかの判断をしなくてはならなくなるのです。
せっかくリスクを背負って手術を行ったのに症状が改善しないのでは、ワンちゃんやオーナーさんに申し訳ないですから、とても判断に悩みます。
今回もまさにそのような状況でした。血液検査では肝臓の数値の著しい上昇は認められますが、
BILL(胆汁が流れない時に上昇する)とCRP(炎症の値)の上昇は認められませんでした。
オーナーさんと相談の上、オーナーさんは胆嚢の摘出手術を選ばれました。

ペットちゃんやオーナーさんの苦しい時間を少しでも減らすために、当院は方針を決めるのも、
その後手術を行うのも最短になるように努力しています。なるべく早く苦痛を取り除いてあげたいので、
ピースちゃんも診察の翌日に手術を行うことになりました。
胆嚢は肝臓とくっついていますので、くっついている肝臓を胆嚢からはがしながら胆嚢を摘出しました。
なかなか大変な手術でした。
術後の経過も良好で3日程で退院となりました。
その後の検査では、胆嚢内に細菌(ばい菌)がいたことが分かり、やはり胆嚢を摘出して正解だったと思いました。
摘出していなければ体内でずっと細菌が繁殖している状況が続くことにたり、症状が何回も再発したと考えられました。
大きな手術は決断が難しいですし悩むことも多いですが、
表面的な治療を行うのではなく問題を根本から解決することは非常に大切なことだと実感しました。

因みに私も胆嚢内に結石を多数持っており、他人事ではありません。
主治医の先生には、痛くなったら教えてと恐ろしいことを言われています。
これって、「痛くなったら手術ってことですか?」と聞けない、いや聞きたくない自分がいます(笑)。
痛いほどオーナー様の悩みが分かる私です。

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