クレアブログ

【院長ブログ】尿道閉塞について

雨が続き、梅雨らしい天候になってきました。
蒸し暑さとエアコンの影響で体調管理が難しいですが、当院のスタッフは元気に過ごしています。
供血犬の3頭も、エアコンの効いた快適な部屋で、楽しく暮らしています。
当院は供血犬がいることから、最近は輸血の問い合わせが多いのですが、
私自身は大学の外科教室出身であり、実は得意分野は外科なのです。

なので、我々が日々行っている手術についても、少しずつ紹介していければと思っています。
さて本日の話の内容は尿道閉塞についてです。

この病気は膀胱内の結石や、炎症によってできる塊が尿道に詰まることによって、
おしっこが出なくなるという病気です。
尿道の構造から、主にオスに多い病気です。
急に症状が出ますし、1日で急変することから一刻を争う非常に怖い病気なのです。
何回もトイレに行くが尿がほとんど出ないというのが症状です。
閉塞が1日以上続いてくると尿が排泄できないことから腎臓が機能しなくなり、
嘔吐や食欲不振やぐったりするといった腎不全の症状が出てきます。
こうなると命に係わる危ない状況になります。
ですから、このように何回もトイレに行くが尿が出ないという症状が出た時には、すぐに動物病院を受診してください。

では次に治療方法を見てみましょう。
大きく分けて治療方法には2種類あります。一つは内科的な治療であり、もう一つは外科的な治療です。
内科療法は、陰茎(おちんちん)の先から細い管(カテーテル)を挿入し、詰まった物質を膀胱に押し返し、
その後再度詰まらないように数日間カテーテルを入れて尿道の腫れを引かせる方法です。

この場合、入院管理が必要ですし、退院後の再度閉塞する可能性が残ります。
2つ目の外科療法は、尿道は陰茎の付け根付近で細くなっており、その部分でつまりやすいことから、
尿道を細くなる手前の部分の(肛門の下あたりで)皮膚におしっこの出る場所を新しく作ってあげる方法です。
この手術を行うことで、数日の入院は必要となりますが再度尿道が閉塞する可能性がかなり低くなります。
手術後は尿の出る方向が少し変わりますが、トイレの形や置き場所を工夫いただければ
正常時とほぼ変わらない排尿が出来ます。悩ましい判断ではありますが、尿道閉塞を繰り返す場合や、
何度も閉塞を繰り返すリスクを減らしたいとオーナーさんが考えられる場合は、手術の適応を検討すべきと考えます。

実際に先日、当院で手術を行ったネコちゃん(オーナー様には許可を得ています)の話をします。
べべちゃんという10歳の雄のネコちゃんで、尿が出ていないとのことで来院されました。
エコー検査では膀胱がパンパンになっており、腎臓の数値も上昇していました。
まずはカテーテルを挿入して尿が出るようにし、入院下で点滴を行い、腎臓の数値が下がるのを待ちました。
その間にオーナー様と協議し、性格を考慮した上で
(性格がキツイ子なので、何度も入院することのほうがリスクと判断しました)手術を行うことになりました。
幸いにも腎臓の数値が下がったので、新しく尿の出口を作る手術(会陰尿道瘻)を行いました。

術後は順調に尿が出るようになり、現在は元気に過ごしてくれています。
なかなか術部を見る機会も少ないと思いますので、オーナー様のご厚意に甘えて、
写真を添付しています。尿道閉塞のネコちゃんの治療の参考になればと思っています。


【直後】

【術後1週間後】

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