クレアブログ

【院長ブログ】明るい話題

「新年あけまして・・・」というには、少し時間が経ってしまいましたが、本年もよろしくお願いします。
年初から、なんだかんだと忙しくて、なかなかブログの更新が出来ませんでした。
こんなしょうもないブログでも、楽しみに読んでいますと言って下さる方もいらっしゃって、
「ありがたいなぁ」と本当に思います。時間を見つけて今年も思いのたけを書いていくつもりです(目標は月に1本(笑))。
供血犬を含めてスタッフは元気にしています。小原は年初からインフルエンザ(?)らしきものにかかり、
可哀そうなことになっていました。それもあって、最近はスタッフ全員で手洗いとうがいの強化を図っています。
さて本日のテーマですが、やはり新年ということで明るい話題を提供しようと思います。

今回は「わんこちゃん」という、わんこちゃんのお話です。
当院へは、2024年の6月初めごろに、免疫が赤血球を壊す病気(免役介在性溶血性貧血:以下IMHA)のセカンドオピニオンで来院されました。
その時にかかっていた動物病院の治療であまり改善が無いとのことで、相談に来られました。
治療はきちんとスタンダードな内容で行われていましたが、改善が無いとのことで、正直大変な状態だと思いました。
でも、オーナーさんは絶対に助けたいと思っておられることがひしひしと伝わってきましたので、何とかしないといけないとも思いました。
そこで、まずステロイドの増量(教科書の範囲内で)を行いました。
それでも反応が無い場合は、脾臓の摘出になることもお伝えしました。
5日後にはHCT(血液の濃さ)が徐々に下がってきて20%(正常は35~55%程度)まで下がりました。
私は普段はこの状態ならまだ輸血は行わないのですが、わんこちゃんに関しては前の病院も含めて長期間に
高容量で使っているステロイドで肝臓の数値が上昇し(ステロイドの代表的な副作用)食欲も低下しており、
全身状態もあまりよくありませんでした。この様な状況であったことから、時間の猶予はあまりないと判断し、
輸血を行ったうえで、脾臓の摘出を行いました。数日後の再診では、HCTは軽度に低下しており、肝臓の数値は測定できない程上昇していました。

その上、肝臓の副作用としては重い、黄疸(BILLの上昇)が出てきました。元気や食欲もそれに伴い減少していました。
ここで迷ったことは、副作用に対してはステロイドを減量すべきですが、IMHAの治療に対してステロイドを簡単に減量できないという矛盾でした。
ただ、全身状態を考慮すると、やはり早めにステロイドを減らしていくべきという判断をしました。
ステロイドを減らす代わりに、他の免疫抑制剤を2種類に増やしました。ここは苦渋の決断でした。
さすがにオーナーさんも落ち込んでいらっしゃいましたが、こんな時こそ楽しいことを見つけましょう
(食べられるものを探してみたり、散歩に出たりなど)とお声掛けをさせていただきました。

7月の初めには、ステロイドの量もかなり下げることができ、HCTは25%程度で維持できるようになりました。
肝臓の数値も低下しはじめ、ゆっくりと元気と食欲も戻り始めました。その後、全身状態の改善と血液の濃さの改善を確認しながら、
薬をゆっくりと減らしていきました。先日、2025年の1月22日の再診では、完全に全ての薬をなくすことができ、
とても元気で可愛いわんこちゃんに戻ってくれました。これで一旦治療を終了することになりました。

年明け早々、幸せな話で嬉しくなりました。これからも大変な病気と戦うことも多いと思いますが、
わんこちゃんのオーナーさんのように、諦めずに信念を持って戦えるチームでありたいと思いました。
また、オーナーさんの真剣な気持ちに寄り添い、オーナーさんと一緒に戦っていけるチームでありたいとも思いました。
元気になってくれて、本当に良かった。ありがとう、わんこちゃん!

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