【院長ブログ】新年あけまして・・・
「新年あけましておめでとうございます」と書きたいところですが、
明けてからかなり時間が経ってしまい、・・・となってしまいました。
皆さんいかがお過ごしですか?赤熊君は新年早々に猫ちゃんに咬まれてしまい、
手が腫れて痛々しかったですが、その他のスタッフはみんな元気にしています。
本日のテーマは正月に読み終わった本からのテーマにしようかと思います。
本の名前は三国清三シェフの「三流シェフ」です。
なかなか読み応えのある、本でした。
内容的には三国シェフの生涯と、今後の方向性が書かれていました。
やはり昭和世代の偉人だけあって、ハードな環境で修業をされていて、ただただ頭が下がる思いです。
ただ、私とは才能やスケールは違うものの、経営者として同じような悩みを抱えておられることに、
少し安心と勇気を頂きました。私が長年思っていたことですが、
店や会社(私には病院ですが)を大きくするにあたって、
大きさを求めることへのある種の矛盾を感じる時があります。
特に我々のような技術職では(三国シェフのような飲食業界も同様と思いますが)、
個人としての技術を極めていくことと、後進を育てて会社として大きくしていくことはある種の矛盾を
抱えているように思うのです。
例えば手術やオーナー様とのやり取りは、実際に経験しないと成長はしません。
組織や獣医療全体の事を考えれば、手術や診察を若手の先生に任せていくことが正解です。
では、本当にそれでオーナー様は満足なさるのでしょうか?
オーナー様は出来ればベテランの先生に診察してもらいたいと考えるかもしれませんし、
手術もベテランの先生にお願いしたいと考えると思います。
ベテランの先生が横について指導すれば問題ないのではないかとの意見が出るかもしれませんが、
ベテランがいつまでも横について指導するわけにもいきませんので、
若手はいつか自立していくことになります。自立してベテランの域に到達するまでは、
患者さんに育てていただくということになります。
つまり、技術職においては、自分の納得するものを提供しようと思えば、
究極的には一人でやるという選択になりますが、それでは組織としては大きくはなれません。
大きくなれないということは、社会の中であまり必要とされていなという理解もできます。
大きくなることで組織全体を考える必要が出てきていしまい、
自分の納得したものを提供できなくなることにつながる可能性がある。これが私の考えている技術職における矛盾です。
この本の中で三国シェフは敬愛されるシェフのお店に触れておられました。
そのお店は、オナーシェフがおひとりでカウンター席のみで営業されているお店でした。
その部分と、三国シェフの今後の部分を読んで、私は何か腹落ちできました。
私のように一人で自分の納得できる医療を提供するのも、悪いことではないのだと思えました。
私にとって優秀な看護師に恵まれていることは、幸いです。
今後も色々と迷いながら、進んでいこうと思った年始でした。