嬉しいご報告
クレア動物病院の院長の田中です。
今日は治療中の子(写真の子)で嬉しいことがあったので、ご報告させて頂きます!
先日、当院にこの子のオーナー様からお電話がありました。
その内容は、「わんちゃんの輸血をして頂けませんか?」というものでした。
詳しくお話を聞かせて頂くと1ヵ月ほど前から貧血を起こし、他のふたつの病院では原因が分からないとのことで、
飲み薬などで対応していたが改善がなく、輸血をしてもらえる病院を探していますとのことでした。
その場でご相談をさせて頂き、当日中に病院へ来ていただく事となりました。
その時の血の濃さ(HCT値)は10.5%と重度の貧血状態でした。
(通常は35%~55%が正常です。ちなみに当院の供血犬のあいちゃんは55%です。)
重要なのはこの貧血がどこからきているかです。
貧血が起こる原因としては、出血がある(口や鼻などから出血しているなど)お腹の中で何かしらの原因により
出血が起こっている(脾臓の腫瘍の破裂など)何らかの理由で血液を作れなくなっている(骨髄の腫瘍など)
または作っても壊されている(自分の免疫による赤血球の破壊など)というようなことが一般的には考えられます。
この子の場合、エコー検査でお腹の中に直径8センチ程の腫瘍があり、これが子宮の可能性が高いと
判断されました。すぐに輸血を行い全身の状態を整えた上で手術にて子宮の摘出をさせて頂きました。
術後の経過も良好で手術より3日ほどで元気に退院できました。
幸い腫瘍ではなく、術後3週間ほどで自分の力で血液を作れるようになり、
血液の濃さも34%まで戻ってきてくれましたので今回の治療は終了となりました。
オーナー様もとても喜んでおられました。
当院では、輸血も治療の一環としてとても重要であると考え、開院当初の5年前より、供血犬がいます。
治療を行う上で、すぐに輸血を行わないと命に関わるということもあります。
動物医療では、人間のように血液バンクなどのシステムがありません。
そんな時に選択肢のひとつとしてご提示できるよう、供血犬がいる形をとらせて頂いております。
今回はオーナー様が個人で当院を探して頂き、助けてあげることができました。
今後もこのような困ったオーナー様や、病気のワンちゃんや猫ちゃんの橋渡しができればとおもい、
オーナー様のご許可を頂きこのような記事を書かせて頂きました。
セカンドオピニオンが必要な事がありましたら、お気軽にご相談ください。