【院長ブログ】戦友の死
朝晩が少し冷え込んできましたね。皆さんいかがお過ごしでしょうか。
小原は今、絶賛風邪の真最中で咳と鼻水に苦しめられています。
私も含め他のスタッフは元気にしています。皆さんも体調を崩されませんようにご自愛ください。
さて本日は悲しいお知らせです。
当院の開院当時から供血猫というより看板猫として一緒に暮らしてきた
ノルウェージャンフォレストキャット(猫の種類)の新一が、先日生涯を閉じました。
このまさしく戦場のようなこの病院で癒しを与えてくれる存在でした。
最後は全く食べ無くなり、血液検査やエコー検査はもちろんのことCT検査や内視鏡検査など、
現状考えられる全ての検査とほぼ全ての考えられる治療をしてみたのですが全く反応せずに、
食欲が戻らないまま亡くなってしまいました。
我々としては職業的に診断をつけることに本気で取り組んだつもりですが、
世の中には分からない病気もあることと自分たちの無力感を痛感しました。
新一に関しては最初の2週間ほどは検査を積極的にしましたが、
原因が判らなかったことと色々な薬を使っても食欲が出なかったことから、
後半の1カ月半は新一の思うようにさせることにしました。
具体的には皮下点滴で水分を補給しながら、食事は肝臓に負担をかけない程度
(猫は絶食により肝臓に負担がかかります)の回数で少しずつ強制給餌を行いました。
この様なやり方が正解かは今も判りませんが、検査をして原因が判らないということは
現在の医療では治療できないということととらえ、病気を受け入れて、新一が楽しく生きることの
サポートを全力でするという選択をしました。最後の数日を除いて、新一は外に出て少しの時間ですが
日向ぼっこをし、苦しむことなく息を引き取りました。見事な生きざまであり、見事な死にざまでした。
その後、宝塚動物霊園さんで火葬をお願いし、お骨拾いをしました。
病気を見つけてあげることが出来ませんでしたが、病気を受け入れて得られた穏やかな時間を考えれば、
病気を受け入れることは今回の新一に関しては納得のいく方法であったように思います。
最も新一を可愛がっていた小原には非常に厳しい決断だったと思います。
亡くなった後も、もちろん寂しさはありますが、決して後味の悪い寂しさでないことに救われています。
これからも、我々はこのような気持ちをオーナー様に提供できるように、診断をつける為に最善を尽くし、
その上で最善の治療を一緒に考え、それでも治療できない時は一緒に病気を受け入れて
少しでも穏やかな時間が提供できるように頑張っていこうと思いました。