【院長ブログ】強く願うということ(2)
その後は徐々に薬を減量していき、9月24日にステロイドの飲み薬をストップすることが出来ました。
データを見返しても、よく持ちこたえてくれたと、いまだにひやひやした気持ちになります。
実際、治療の途中には何度もルナちゃんの全身状態が厳しい状況に直面しましたし、
オーナーさんのメンタルも非常にきついものがあったと思います。
でも、何とか治してあげたという強い気持ちがあったからこそ、病気に勝つことが出来たと思います。
この勝利は、ひとえにルナちゃんの強い生命力と、
それに勝るとも劣らないオーナーさんの強い思いがもたらしたものと思います。
強く願うことは、時に奇跡的なことを起こす原動力になるのだとつくづく考えさせられました。
これからも、そういうオーナーさんの思いに寄り添っていける病院でありたいと思いました。
因みに、私の大学の卒論の研究テーマは再生医療でした。
脂肪由来の幹細胞による膝の関節の再生でした。その上でお断りすると、
私は再生医療には懐疑的な意見を持っています。
特に血管に幹細胞を入れれば体の悪いところを直してくれるというのは、いささか単純すぎるように思います。
今回はオーナーさんと十分な協議を重ねて、効果が無い可能性が高いことも正直にお話ししたうえで
再生医療を行いました。
私の立場としては、まず科学的に正しいと考えられているスタンダードな治療(教科書に載っている治療)を行った上で、
再生医療を行うのであれば十分に相談されてから行っていただきたいと思います。
再生医療は、決して夢のような万能の医療ではないことを書き添えておきます。
ルナちゃんも再生医療以外にも多くの治療を行っており、
再生医療が功を奏したかどうかは科学的には分からないと思っています。
でも、病気に勝てたことに変わりはありませんので、どの治療が功を奏したかはさておき、
とてもありがたく嬉しいことには変わりません。
今回ブログを書かせていただくにあたり、ルナちゃんのお母さまから沢山のお写真を頂きました。
元気になっていくルナちゃんを見て改めてとても嬉しかったです。ご協力ありがとうございます。