クレアブログ

【院長ブログ】ワクチンて・・・➁

ワクチンて・・・つづき➁

次に2つ目の疑問が出てきます。それはワクチンの接種する頻度に関してです。
最初の3回の接種をブーストアップと言います。これは我々もコロナのワクチンで経験したように、
3回打つと抗体価が上がると考えられます(これはデータに基づきます)。
その後1年目に4回目のワクチンを接種します。これも抗体価の維持には必要と考えます。
その後の5回目以降は世界的には2~3年に1回が標準的です。ところが日本では5回目以降も1年に1回の接種となっています。
これに関しては本当にどちらが正しいかはわかりませんが、僕は2年に1回程度で良いものと考えています。
ただし、ペットホテルやトリミングサロンなどのワクチンの証明書がいる場所では、有効期限を1年としていることが多いです。
これは狂犬病のワクチンが1年に1回になっていることによるのかもしれませんが、
混合ワクチンが1年に1回になっている理由はよくわかりません。
ただ、日本の社会でペットの色々なサービスを受けるにあたっては、
やはり1年に1回の接種をしておかないと不都合が多いように思います。
確かにこれはペットのためではなく、人間の都合かもしれませんが社会通念上の慣習というものがありますので、
ペットのサービスが必要な方は1年に1回の接種をお勧めします。

3つ目はワクチンの種類です。
一般的にコアワクチン(絶対必要)と考えられる種類が全て入っているものが、
犬では5種混合ワクチン、ネコでは3種混合ワクチンになります。犬は5種の次が6種になります。
これは犬同士で下痢などを引き起こすウイルスに対するワクチンが増えます。
その次は7種や8種や10種や11種があります。
レプトスピラ対策のワクチンの中で、日本で現在主流となっているのは8種となっています。
レプトスピラには数種類の亜種(親戚のようなもの)があり、レプトスピラが1種類増えれば7種混合ワクチン、
2種類増えれば8種混合ワクチンといった具合に増えていきます。
現状はどの種類のレプトスピラが多いかといった詳細なデータが少ないですが、
以前から多かった2種類が入っているのが8種です。私は現在のところ8種混合ワクチンを推奨しています。

レプトスピラは最近発生の報告が増えてきました。報告が増えたのか、発生自体が増えたのかは不明です。
主に野生生物の尿に汚染された水などから感染すると言われています。
実際に報告も自然の多いところで発生しています
(当院で診察したのは京都の日本海側に水遊びに行った子です。獣医師会の報告絵は能勢に水遊びに行った子でした)。
症状は黄疸や腎不全など、かなり重症な(死亡率は50%)感染症です。
自然豊かなところに遊びに行きたいかたは、必ずレプトスピラ対策のワクチン(できれば8種以上)を接種しておいてあげてください。

最後に抗体検査についての話をします。僕自身は、抗体検査はお勧めしていません。
理由は明確です。抗体検査とは、今現在の抗体の量を測定する検査だからです。
今の抗体価(抗体の量)を検査すれば、今その病気にかかりやすいかの判断はできますが、
その抗体が半年後にあるのかどうかは誰も分からないからです。
つまり、抗体価は現在の数値であり、ここから1年間病気を予防してくれる保証にはならないということです。
よく考えると、我々もインフルエンザやコロナのワクチンを接種する時に抗体価を測定しませんよね。
ペットも同じことで、未来の為にワクチンを打つわけですから、現在の抗体価を測定する必要は無いと思います。
勿論、色々な事情で抗体価を知りたい方を否定するつもりはありませんし、当院でも抗体価の測定は行っております。
長々とお話しさせていただきましたが、
大切なことはワクチンの事を理解していただいた上で、
ライフスタイルも合わせた自分なりのワクチン接種の方法をお選びいただければと思います。

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